企業がUGC動画を作るときは、まず「自然発生した投稿」「企業が依頼したクリエイター投稿」「企業が制作するUGC風広告」を分けます。そのうえで、目的、体験の事実、広告表示、素材の権利、確認者、投稿後の広告利用、計測を順に決めます。
POINT UGCらしさは、広告であることを隠す演出ではありません。生活者が知りたい使用場面を、事実と関係性が分かる形で見せることです。
この記事の目次
UGC動画の種類を最初に分ける
「UGC動画」という呼び方だけでは、誰が作り、誰が内容を決めたかが分かりません。実態に合わせて管理方法を変えます。
| 種類 | 内容の決定 | 企業が確認すること |
|---|---|---|
| 自発UGC | 投稿者が自主的に投稿 | 再利用前に許諾を得る |
| 依頼したクリエイター投稿 | 企業が依頼・条件提示 | 広告表示、事実、契約、媒体ラベル |
| UGC風広告 | 企業や制作会社が制作 | 出演者、台本、広告表示、素材権利 |
自発UGCを見つけたことと、企業が広告やWebへ自由に使えることは別です。スクリーンショットや再投稿をする前に、利用先と期間を伝えて許可を得ます。
目的と一つの使用場面を決める
認知、商品理解、比較、不安解消、購入後の使い方では、見せる場面とCTAが変わります。
| 目的 | 企画例 | 確認する事実 |
|---|---|---|
| 発見 | 日常の困りごとから商品を知る | 困りごとと商品の関係 |
| 理解 | 開封、手順、サイズ感を見せる | 仕様、使用条件、撮影条件 |
| 比較 | 選んだ条件を一つずつ説明 | 比較対象と同一条件 |
| 不安解消 | 購入前の疑問へ答える | 対象者、例外、注意点 |
| 継続 | 使い方、手入れ、応用を紹介 | 公式手順と禁止事項 |
一つの動画で多くを言おうとせず、誰のどの場面を、どの根拠で見せるかを決めます。
ブリーフは「必須事実」と「本人の言葉」を分ける
出演者へ完成台本をそのまま読ませると、体験談に見えても実態は企業が決めた表現になり得ます。次の項目を短いブリーフにまとめます。
- 伝えてよい事実と出典
- 実際に試して確認する場面
- 禁止表現、条件、注意書き
- 必須カットとCTA
- 広告表示と媒体ラベル
- 投稿前の確認者と差し戻し方法
感想まで指定するのではなく、本人が実際に確認したことを本人の言葉で話せる余白を残します。映像・音声・テロップの整理はショート動画の台本の作り方も参考にしてください。
広告であることを投稿全体で明瞭にする
消費者庁のステルスマーケティングに関するQ&Aでは、規制対象は表示内容の決定に関与した広告主です。企業が依頼・指示した投稿では、一般消費者が広告と分かるようにします。
「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」は表示例ですが、その語を一つ付ければ必ず十分という意味ではありません。投稿本文ではなく返信やツリーだけに表示すると、気付かれないおそれがあります。動画、キャプション、媒体ラベルを合わせ、最初に見た人が関係性を判断できるか確認します。
また、依頼投稿を自社サイトの「お客様の声」として再掲する場合も、自社が依頼した投稿であることを明瞭にします。個別の表現は法務・表示担当へ確認してください。
表示確認のコツ 法令上の表示とプラットフォームのラベルは、どちらか一方で代替できると決めつけず、両方を確認します。
媒体の開示設定を使う
TikTokは、自社または第三者のブランド・商品・サービスを宣伝する投稿にContent disclosure settingを用意しています。第三者ブランドの投稿ではブランドパートナーをタグ付けでき、広告認可や投稿インサイトの共有にもつながります。
Instagramでは、報酬だけでなく、無償提供・貸与やアフィリエイトなどの価値交換を伴うブランドコンテンツにもPaid partnership labelが求められます。媒体ごとに、投稿前の開示設定と公開後の表示を実機で確認します。
撮影では主張の証拠を残す
手元、操作手順、サイズ比較、使用前後の条件など、動画内の主張を裏付けるカットを撮ります。実際に使っていないのに利用者の体験談として語る、社員であることを隠して第三者の感想に見せる、結果を保証するように編集する、といった誤認を避けます。
撮影後は、元データ、使用条件、確認した仕様、承認済みテロップを同じ案件フォルダへ残すと、修正や再配信時に判断しやすくなります。
投稿許可と広告・他媒体利用を分ける
| 権利・許可 | 確認内容 |
|---|---|
| 投稿 | アカウント、公開日、公開期間、削除条件 |
| 広告 | 媒体、広告アカウント、認可期間、予算・地域 |
| 編集 | 尺変更、字幕、翻訳、切り抜き、静止画化 |
| 他媒体 | Web、EC、店頭、営業資料、別SNS |
| 人・素材 | 肖像、氏名、音声、音楽、画像、ロゴ |
TikTokのSpark Adsは、自社または許可を得たクリエイターのオーガニック投稿を広告利用する形式です。認可期間は、投稿設定、コード、Content Suiteなどの経路で異なり得ます。契約期間とプラットフォーム上の認可期間を別々に記録し、終了前に延長・停止を判断します。利用中の動画を削除する場合は、先にSpark Adsの認可解除が必要です。詳細はTikTok Spark Adsの解説で確認できます。
公開前から広告利用と計測を決める
投稿後に二次利用を相談すると、権利、音源、字幕、広告審査で作り直しが発生しやすくなります。インフルエンサー施策の依頼書にも、投稿先、広告転用、素材納品、修正・削除条件を先に記録します。
計測では、再生や反応だけでなく、商品ページ閲覧、カート、購入、問い合わせ、コメント内容を見ます。出演者だけで優劣を決めず、フック、使用場面、証拠カット、CTAの差を残し、次の企画へ戻します。
公開前チェックリスト
- 自発UGC、依頼投稿、UGC風広告のどれかを区別した
- 投稿者が実際に確認した事実と、企業指定の必須情報を分けた
- 動画・キャプション・媒体ラベルで広告関係が明瞭か確認した
- 投稿、広告、編集、他媒体、出演者・素材の許可を分けた
- 認可期間、公開期間、削除・停止手順を記録した
- 投稿後に見る指標と判断日を決めた
よくある質問
商品を無償提供した投稿にはPR表示が必要ですか?
提供だけで一律に判断せず、依頼内容、やり取り、対価、取引関係などから企業が表示内容の決定に関与したかを確認します。依頼投稿に当たる場合は、投稿全体から広告であることを明瞭にし、媒体のブランドコンテンツ設定も確認してください。
#PRを付ければ十分ですか?
特定のハッシュタグだけで常に十分とは限りません。消費者庁は表示内容全体で判断すると説明しています。動画内、キャプションの見やすい位置、媒体ラベル、再掲先まで含め、初見の人が広告関係を判断できるか確認します。
投稿を後から広告やWebに使えますか?
投稿の許可だけでは足りない場合があります。広告、Web、店頭、別SNS、編集、期間、地域、音源、肖像などの利用範囲を契約で確認し、Spark Ads等ではプラットフォーム上の認可期間と停止手順も別に管理します。
まとめ
UGC動画の作り方は、種類の区別、目的、体験の事実、ブリーフ、広告表示、撮影、権利、配信、計測の順です。自然な見え方を追うほど、誰が内容を決め、どの関係で投稿したかは明確にしましょう。
UGC型クリエイティブの企画・制作を相談したい方は、TikTok運用代行サービスをご覧いただくか、Albitへお問い合わせください。
