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インフルエンサー施策の依頼書の作り方|目的・表現・権利・計測

インフルエンサー施策の依頼書には、目的、対象者、伝える事実、成果物、広告表示、禁止・要確認表現、任せる表現、権利、承認、計測、公開後対応を書きます。台本を細かく固定する文書ではなく、ブランドが守る条件と、クリエイターが自分の言葉で表現できる範囲を分ける文書です。

報酬、責任、知的財産、解除、損害、秘密保持などは契約書で確定します。依頼書は契約書の代わりではなく、制作・投稿時に両者が確認する実務ブリーフとして使ってください。

POINT 「必ず正確に伝える事実」「クリエイターへ任せる表現」「契約・媒体権限で確定する条件」の3層に分けると、修正理由を説明しやすくなります。

この記事の目次
  1. 依頼前に社内で決めること
  2. 依頼書に入れる11項目
  3. 守る条件・任せる表現・契約条件を分ける
  4. 広告表示は文言だけでなく確認方法まで書く
  5. TikTok・Instagramの媒体設定も指定する
  6. 成果物と権利を用途ごとに分ける
  7. 承認フローは確認対象と期限を固定する
  8. 依頼書の記入例
  9. 公開前チェックリスト
  10. よくある質問
  11. まとめ|自由を残すために守る条件を具体化する
目次

依頼前に社内で決めること

依頼書を書く前に、次を社内で決めます。

  • 施策目的と対象者
  • なぜそのクリエイターへ依頼するか
  • 投稿で伝える確定事実と根拠
  • 成果物の形式・本数・公開時期
  • 報酬、費用、支払条件
  • 二次利用・広告利用の有無
  • 投稿前確認の範囲と期限
  • KPIと取得方法
  • 炎上、誤記、欠品等が起きた際の連絡先

選定前ならインフルエンサーの選び方、予算条件はインフルエンサーマーケティングの費用で先に整理できます。

依頼書に入れる11項目

項目記載内容確認者
背景・目的なぜ実施し、何を変えたいか施策責任者
対象者・場面誰のどの状況へ届けるかマーケティング
商品・サービス事実名称、価格、条件、注意点、根拠商品責任者
成果物媒体、形式、本数、尺、公開時期進行担当
広告表示文言、位置、継続、媒体設定、確認方法法務・広報
禁止・要確認表現誇大、比較、業法、競合、未確認事項法務・監修者
任せる表現導入、言葉、撮影場所、構成の自由範囲クリエイター
権利・広告利用再掲、編集、広告、期間、地域、削除契約担当
承認・修正構成、初稿、最終画面、回数、期限承認者
計測・報告指標、取得元、観測日、提出形式分析担当
公開後対応訂正、コメント、再掲、削除、記録運用責任者

守る条件・任せる表現・契約条件を分ける

区分主な記録先
必ず正確に伝える商品名、価格、対象条件、期間、注意事項依頼書・根拠資料
必ず表示する広告表示、媒体ラベル、指定リンク依頼書・投稿画面
事前確認する効果表現、比較、健康・美容等の表現依頼書・監修記録
クリエイターへ任せる導入、話し方、日常場面、編集テンポ依頼書
契約・権限で決める報酬、二次利用、広告、編集、期間、解除契約書・媒体承認

実際の感想や話し方まで固定しすぎると、クリエイターの文脈が失われます。一方で、商品事実、広告表示、法令・業界ルール、利用条件は曖昧にしません。自由にしてよい部分を明記することも依頼書の役割です。

広告表示は文言だけでなく確認方法まで書く

消費者庁のステルスマーケティングに関するQ&Aは、規制対象を表示内容の決定に関与した広告主と説明しています。報酬を受けた投稿は、細かな内容指定がなくても「事業者の表示」に該当する可能性が高いとするQ&Aもあります。

動画は途中から視聴される場合があるため、同Q&Aは、冒頭の「広告」表示だけでは見逃されることがあり、動画全体を通して事業者の表示だと明瞭にすることが望ましいと説明しています。依頼書には次を記録します。

  • 表示する文言
  • 画面・キャプションの位置
  • 動画中の表示継続・再表示
  • 媒体のPaid partnership等の設定
  • 投稿前に誰が何を確認するか
  • 投稿後の画面保存と訂正方法
  • ブランドサイトや広告へ再掲する場合の表示

同Q&Aは、依頼したインフルエンサー投稿を自社サイトで単に「お客様の声」として載せることは適当でなく、依頼投稿であることが一般消費者へ明瞭になる形で表示する必要があると説明しています。投稿時だけでなく、再掲先も依頼書と契約で確認してください。

個別案件の適法性は商品カテゴリ、やり取り、報酬、表示全体で変わります。法務担当や専門家へ確認し、本記事だけで法的判断を完結させないでください。

TikTok・Instagramの媒体設定も指定する

TikTokは、ブランド・商品・サービスを宣伝する投稿でCommercial Content Disclosure設定をオンにするよう案内しています。TikTok Oneプロジェクトでは、この設定が自動管理されます(TikTok:Commercial Content Disclosure)。

Instagramは、金銭の支払いだけでなく、無償提供・貸与された商品、サービス、アフィリエイトリンクなど価値交換を伴うbranded contentでPaid partnership labelを求めています(Instagram:What is considered branded content)。

依頼書には、媒体名、投稿者、使用する設定、ブランドパートナー、投稿前画面、投稿後確認を具体的に書きます。媒体ラベルを使えば他の表示確認が不要になるとは決めつけず、消費者庁Q&Aと自社の法務判断を併せて確認してください。

成果物と権利を用途ごとに分ける

「SNSで自由に使える」では範囲が不明です。少なくとも次を分けます。

  • クリエイター自身の投稿
  • ブランド公式アカウントでの再投稿
  • Webサイト、EC、メール、店頭での二次利用
  • Partnership Ads、Spark Ads等の広告利用
  • 字幕追加、切り抜き、縦横変換、翻訳
  • 利用期間・地域・媒体
  • 投稿削除、契約終了、炎上・誤記時の扱い
  • 元データ、サムネイル、レポートの納品

TikTok Oneの公式ヘルプも、クリエイター投稿をAds Managerへ同期して広告へ使う際に承認を求める流れを案内しています(TikTok:creator collaboration)。オーガニック投稿への依頼と広告転用を同じ許可として扱わないでください。

ショート動画制作の要件定義も参照し、納品物と利用範囲を制作前に確定します。

承認フローは確認対象と期限を固定する

  1. ブランド側が商品事実・禁止表現・広告表示を確定する
  2. 構成案で対象者・切り口・必須要素を確認する
  3. 初稿で事実、表示、権利、CTAを確認する
  4. 修正は理由、優先度、根拠を一つにまとめて返す
  5. 最終版、投稿画面、リンク、媒体設定を確認する
  6. 公開後に表示・リンクを確認し、画面とレポートを保存する

進行のコツ 「ブランドの好み」と「事実・法務・契約上必要な修正」を分けます。複数担当者のコメントは一人が統合し、どの依頼書項目に基づく修正かを示してください。

依頼書の記入例

以下は架空の業務アプリを紹介するTikTok動画を想定した例です。実案件の条件へ置き換えてください。

項目架空の記入例
目的無料トライアルの存在を認知してもらう
対象者日報作成に時間がかかる小規模チームの担当者
必須事実無料期間、対象機能、申込条件は添付の公式資料どおり
成果物TikTok縦型動画1本、投稿前確認1回、公開日は双方合意
広告表示Commercial Content Disclosureをオン。動画・キャプションの表示は法務確認
禁止表現時間削減率、必ず効率化、他社比較は未確認のため使用しない
任せる表現冒頭の悩み、日常場面、話し方、撮影場所
権利クリエイター投稿のみ。広告・Web再掲・切り抜きは別途承認
承認商品事実・表示・リンクのみ確認。好みによる台本固定はしない
計測公開7日後に表示回数、視聴、保存、リンク指標を同じ観測窓で提出
公開後誤記は連絡後に訂正。ブランド再掲前に表示と権利を再確認

KPIと観測窓の設計はインフルエンサーマーケティングのKPIで詳しく整理しています。

公開前チェックリスト

  • 目的と対象者が一文で分かる
  • 商品・サービス事実の根拠と確認者が分かる
  • 広告表示の文言、位置、継続、媒体設定が明確
  • 禁止・要確認表現と任せる表現を分けた
  • 投稿、納品、二次利用、広告利用を分けた
  • 編集、期間、地域、削除条件を契約で確認した
  • 修正回数、理由、承認者、期限を決めた
  • KPI、取得元、観測日、提出方法を決めた
  • 投稿後の表示確認、訂正、再掲、記録を決めた

よくある質問

PR表記だけ書けば十分ですか?

文言だけでは判断できません。表示位置、動画中の継続、キャプション、媒体設定、投稿全体から明瞭かを確認します。個別案件は消費者庁Q&Aと法務判断に沿ってください。

商品を無償提供しただけでも広告表示は必要ですか?

日本法上は提供目的、依頼内容、やり取り、関係性など個別事情で判断されます。一方、Instagramのbranded content policyは贈答・貸与も価値交換に含めてPaid partnership labelを求めています。法令と媒体ルールの両方を確認してください。

投稿前にどこまで修正できますか?

商品事実、広告表示、禁止表現、権利、リンクは確認対象にします。話し方や感想まで変える場合は、修正理由と契約範囲を確認し、クリエイターへ任せる部分を依頼書で残します。

投稿を広告へ転用できますか?

自動的にはできません。広告利用の可否、期間、媒体、編集、報酬、媒体上の承認を契約・依頼書・プラットフォーム設定で確認してください。

依頼書と契約書はどちらが優先ですか?

依頼書は制作上の共通理解、契約書は法的な条件を定める文書です。矛盾があれば放置せず、契約担当・法務と整理し、両方を更新してから制作を進めます。

まとめ|自由を残すために守る条件を具体化する

インフルエンサー施策の依頼書は、目的、事実、成果物、広告表示、権利、承認、計測、公開後対応を共有する実務文書です。台本を固定するのではなく、守る条件、任せる表現、契約・権限で決める条件を分けてください。

依頼書作成からクリエイター選定、動画制作、効果測定まで相談したい方は、Albitのお問い合わせページをご利用ください。

この記事の執筆者

加藤 翔太

加藤 翔太 Shota Kato

Albit株式会社 代表取締役 / CEO

早稲田大学卒業後、株式会社キーエンスにてコンサルティング営業に従事し、データドリブンな営業手法を実践。2021年にマーケティング支援企業を共同創業しSNS運用戦略を主導した後、2025年1月にAlbit株式会社を設立。大手音楽レーベル、大手アニメーション企業、大手賃貸住宅サービス、大手スポーツ用品ブランドなどの縦型動画SNSマーケティングを支援し、運用約4ヶ月で総再生3,000万回超、約1年半でフォロワー10倍(4万→40万人超)などの成果を率いてきた。統計・データ解析の知見を軸にした、再現性のあるバイラルマーケティング設計が専門。

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